子ども時代
先生はどのようなお子様でしたか?
私は、子どものころから外で活発に遊ぶことが好きで、中高一貫の学校へ進みましたが、そこでも勉強よりも部活動や、友達と過ごすことの方が楽しかったですね。
クラスの友達のレベルが高く、私の成績はいつも最後の方で、先生からも諦めの言葉をかけられるほどでした。
もともと歯科医師を目指していたのですか?
祖父、父ともに歯科医師だったので、まわりからは後を継ぐのだろうといわれていましたが、私自身はどちらかというと文系科目の方が好きでしたので、通訳士などに憧れていました。
父が歯科治療を行っている姿はあまり見たことが無く、記憶にあるのは、いきなり呼び出されたと思ったら、歯のチェックをし、磨けていないから1時間歯磨きをしてこいと言われたりなど、私にとっては嫌なイメージしかありませんでした。
しかし、土曜日の昼食時にも父がいないことを思い返すと、休憩もせず忙しく働いていた父がいました。
そんなまわりの環境から、自然と歯科医師を目指すことになりましたが、大学在学中のある日、父のかかりつけ医から連絡があり、父ががんであることを告げられました。手術ができる状態ではなく、あと2年の命だと聞かされ、正直「何を言っているのだろう?」と理解ができませんでした。当時は固定電話と手紙でのやり取りしかできず、県外に住んでいた私は、なかなか会うこともできませんでした。
そして、国家試験の1ヶ月前に父は亡くなりました。
生前、父から跡を継いでほしいとは言われていませんでしたが、本当は誰よりも歯科医師になってほしいと望んでいたことと思います。合格を伝えられなかったことが悔やまれます。
歯科医師として
私は卒業後、大学病院、開業医と勤務をしていましたが、弟妹も実家を出ていた為、母親を1人残しておくのは・・・と思い、地元へ戻ることに決めました。
独立した当時は本当に大変でしたね。技術を上げる事に必死だった勤務医時代とは違い、経営面についても理解しておかなければなりませんでしたが、それについては特に学んでいなかった為、先輩方にご教示、ご支援をいただき、今という現状にまで成長することができました。
先生は歯科医師として、どういうお気持ちですか?
私の使命は、勉強をいつまでも続けて、良い治療を患者さんに提供することだけでなく、それ以上に虫歯や歯周病をなくすことだと思っています。
悪くなってからではなく、如何にそうならないかを伝えていきたいです。
また、今いるスタッフの為に、頼もしく、頼れる人間になる事が大切だと思っています。
医院をリニューアルされたのはなぜですか?
以前の歯科医院は、父親から受け継いだもので、そこでは私の本当にやりたいことができませんでした。
まず、治療を受ける方の部屋と、予防やメンテナンスを受ける方の部屋を分けること。診療室は個室にすること。また、滅菌に力を入れることを軸としました。
治療スペースを個室にした理由は、患者さんがなぜ歯科医院に来たか、何を求めているのかをしっかりと聞き、ベストな提案、コミュニケーションがとれるよう、また、プライバシーに配慮する為です。
患者さんの中には、歯にコンプレックスがあり、治療をしているところを他人に見られたり聞かれたくない方もいます。
また、滅菌消毒にさらに力をいれることです。医療機器を管理する為の部屋もしっかりとつくり、歯に直接触れない器具の細かな物までをも滅菌消毒することで、徹底的な感染予防を行う事が可能となりました。